『ITパスポート』と『ウェブ解析士』を比較してみるか-5

試験本番まであと54日。累計勉強時間:1時間。

まずは、「ストラテジ系」からだ。試験範囲であるシラバスを確認しよう。大分類で3つ、中分類で7つ。項目でみると全部で24項目に分かれている。試験では、このなかから35問程度が出題される。普通に考えると24項目からひとつずつ出題したとして、残り11問は重複して出題されることになる。

TACテキストとも比較しておいた。わかりやすさを考えたのか「標準化」を独立させたりして、工夫しているように見える。項目はまんべんなくフォローしているのでテキストの不安はないだろう。ここまでで130ページを割いている。全体から見渡すと130/480=27%がストラテジ系となる。

大分類中分類項目TACテキスト
1:企業と法務1:企業活動1. 経営・組織論
2. 業務分析・データ利活用
3. 会計・財務
1-1. 経営組織とヒューマンリソース
1-2. 業務分析とデータの利活用
1-3. 意思決定と問題解決技法
1-4. 財務会計、管理会計
2:法務4. 知的財産権
5. セキュリティ関連法規
6. 労働関連・取引関連法規
7. その他の法律・ガイドライン・技術者情報倫理
8. 標準化関連
1-5. 知的財産権
1-6. その他の法務知識
1-7. 標準化
2-6. システム戦略
2:経営戦略 3:経営戦略マネジメント
9. 経営戦略手法
10. マーケティング
11. ビジネス戦略と目標・評価
12. 経営管理システム
2-1. 経営戦略
2-2. マーケティング
2-3. ビジネス戦略と技術戦略
4:技術戦略マネジメント
13. 技術開発戦略の立案・技術開発計画2-3. ビジネス戦略と技術戦略
5:ビジネスインダストリ14. ビジネスシステム
15. エンジニアリングシステム
16. e-ビジネス
17. IoT システム・組込みシステム
1-3. 意思決定と問題解決技法
2-5. エンジニアリングシステム
3:システム戦略 6:システム戦略
18. 情報システム戦略
19. 業務プロセス
20. ソリューションビジネス
21. システム活用促進・評価

2-4. ビジネスシステム
2-6. システム戦略
2-7. モデリング技法
7:システム企画22. システム化計画
23. 要件定義
24. 調達計画・実施
2-8. システム企画
ITパスポート試験シラバス(変更箇所表示版) (ipa.go.jp) と「ニュースペックテキスト ITパスポート 2023年度 オールカラー図解 これ一冊でインプット&アウトプット 」から抜粋して管理人が作成

こうして項目タイトルを眺めていると、「ウェブ解析士」と関連が深そうなのは、「5:ビジネスインダストリ」だ。ひとつ上の資格に「上級ウェブ解析士」があるが、講座に「事業戦略立案」が組み込まれてくるので、「3:経営戦略マネジメント」も大きく関わってくるだろう。

「ウェブ解析士」との比較では、項目タイトルの比較だけではよくわからない。タイトルの意味するところが広すぎるからである。そのため、「ITパスポート」のシラバスで示されたキーワード群と「ウェブ解析士」テキストのキーワード群を比較していこう。

1:企業活動>1. 経営・組織論

キーワードをピックアップしてみた。赤字のキーワードは、シラバスVer6.0から新たに追加されたキーワードだ。

No単語意味ウェブ解析士
1経営理念(企業理念)企業が持つべき方針や価値観を示したもの。
2株主総会株主が一堂に会し、会社の経営に関する権利や義務について議決する場。
3決算企業の財務状況や業績を公表し、株主に報告すること。
4社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)企業が社会に対して負うべき責任。
5社会的責任投資(SRI:Socially Responsible Investment)社会的責任を果たす企業に投資すること。
6ディスクロージャー企業が持つ情報を公開すること。
7監査企業の財務状況や業績を第三者が検査し、信頼性を確認すること。
8グリーン IT情報技術を活用し、環境に配慮した活動をすること。
9SDGs持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称で、国連が掲げる17の目標。
10ステークホルダ企業にとって重要な利害関係者(株主、従業員、顧客、地域社会など)。
11コーポレートブランド企業が持つイメージやブランド価値。
12経営目標企業が達成したい長期的な目標。
13財務・資産・人事・情報管理企業の中で必要な管理領域。財務・資産管理、人事管理、情報管理などがある。
14PDCA(Plan-Do-Check-Act)改善活動の手順で、計画・実行・評価・改善のサイクルを繰り返すこと。
15OODAループ情報収集・意思決定・行動・評価のサイクルを繰り返すこと。
16BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)災害や事故等の発生時に事業の継続を確保するための計画。
17BCM(Business Continuity Management:事業継続管理)BCPを策定し、実際に災害等が発生した場合の継続対応を管理すること。
18リスクアセスメント様々なリスク要因を分析し、リスクを評価すること。評価結果に基づいてリスク対策を講じることができる。
19ヒューマンリソースマネジメント人材の採用、育成、評価、労務管理など、組織内の人的資源を最適に活用するための戦略的な管理手法
20コーチング相手の能力・スキルを引き出し、自己成長を促進する方法。
21メンタリング経験豊富な先輩や上司が、後輩や部下に経験や知識を伝える方法。
22OJTOn the Job Trainingの略称。職場で実務を通じた研修方法。
23Off-JTOff the Job Trainingの略称。職場外で行う研修方法。
24e-ラーニング電子的な媒体を使った学習方法。
25アダプティブラーニング個人の理解度や学習スピードに合わせた学習方法。
26CDP(Career Development Program)従業員のキャリアアップを支援するためのプログラム。
27メンタルヘルス精神的な健康状態のこと。
28HRテック(HRTech)人事管理にIT技術を活用すること。
29MBO(Management by Objectives:目標による管理)上司と部下が目標を共有し、達成度を評価する管理手法。
30HRM(Human Resource Management)人事管理のこと。
31リテンション従業員の定着率を高めること。
32タレントマネジメント優秀な人材を獲得・育成・定着させるための人事戦略。
33リーダーシップ組織を導く力。
34モチベーション行動を起こす動機づけの力。
35ワークエンゲージメント従業員が仕事に対して熱心であること。
36ワークライフバランス仕事とプライベートのバランスを取ること。
37ダイバーシティ多様性のこと。
38多様な働き方への取組従業員の多様な働き方に対応する取り組み。
39テレワークの類型在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務などのテレワークの種類。
40経営上の留意点テレワークにおいては労務管理などに留意する必要がある。
41階層型組織ピラミッド型の上下関係を持つ組織形態。上位の管理職が下位の職員を指揮し、情報や権限が上下に集中する。
42事業部制複数の事業部によって構成される組織形態。各事業部は自己完結的な機能を持ち、商品やサービスごとに責任を持つ。
43機能別組織業務の種類や職能ごとに部署が設置される組織形態。各部署は専門性を持ち、それぞれが担当する業務に対して責任を持つ。
44職能別組織同じ職能やスキルを持った人々が集まって構成される組織形態。例えば、営業職、開発職、経理職など。
45マトリックス組織職能別組織と事業部制を組み合わせた組織形態。職能別の専門部署と事業部門が重層的に結びつき、専門性と事業の両面から取り組むことができる。
46プロジェクト組織プロジェクトごとにチームが編成され、プロジェクトが終了すると解散する組織形態。柔軟な人員配置が可能で、効率的な業務遂行が期待できる。
47カンパニー制各事業部が独立した企業として運営される組織形態。
48持株会社複数の企業を子会社として保有し、経営戦略を立案する会社。子会社は相互に連携し、シナジー効果を狙うことができる。
49最高経営責任者(CEO)企業の最高経営責任者であり、経営戦略の立案や組織の運営などを担当する。
50最高情報責任者(CIO)企業において情報技術戦略の立案や情報システムの開発・運用管理
51第4次産業革命インターネットや人工知能などの技術によって起こる産業の変革
52Society5.0技術と人間の調和を追求した次世代の社会モデル
53データ駆動型社会データを活用して社会や経済を改善する社会の形態
54デジタルトランスフォーメーション(DX)デジタル技術を活用して組織やビジネスモデルを革新すること
55国家戦略特区法(スーパーシティ法)特定の地域において産業や経済の発展を促進するための法律
56官民データ活用推進基本法公共データの活用や共有を推進するための法律
57デジタル社会形成基本法デジタル社会の形成とその利益の最大化を図るための法

キーワード57個中、「ウェブ解析士」のテキストに登場したキーワードは14個だった。
全体では、14/57=24.6%。約4分の1にキーワードの重複が見られた。念のため、断っておくが、「ウェブ解析士」のテキストに登場したというだけで、そのキーワードを解説しているわけではない。

としても、まあまあ予想どおりかな。
No55~57の法律関係は、「ウェブ解析士」のテキストにも取り込んでおきたいところだ。やっぱり、法律だからね。関係しそうな法律は押さえておかないといけない。当然、試験でも出題されるんじゃないかな。あと、気になるのは「OODAループ」。VUCA時代になったといわれているので「OODAループ」とはなにかというのをどこかで解説しておいたほうがいいだろう。

その他は、とくになにもない。以前からあるキーワード。学生の方には初見のキーワードもあるかもしれないが、社会人であればどこかでみかけたことがあるはずだ。

次回へとつづく


前回の記事:『ITパスポート』と『ウェブ解析士』を比較してみるか-4
次回の記事:『ITパスポート』と『ウェブ解析士』を比較してみるか-6

参考