『ITパスポート』と『ウェブ解析士』を比較してみるか-6

前回からの続きだ。今回は、業務分析・テータ利活用についてキーワードをみる。

再掲

大分類中分類項目TACテキスト
1:企業と法務1:企業活動1. 経営・組織論
2. 業務分析・データ利活用
3. 会計・財務
1-1. 経営組織とヒューマンリソース
1-2. 業務分析とデータの利活用
1-3. 意思決定と問題解決技法
1-4. 財務会計、管理会計
2:法務4. 知的財産権
5. セキュリティ関連法規
6. 労働関連・取引関連法規
7. その他の法律・ガイドライン・技術者情報倫理
8. 標準化関連
1-5. 知的財産権
1-6. その他の法務知識
1-7. 標準化
2-6. システム戦略
2:経営戦略 3:経営戦略マネジメント
9. 経営戦略手法
10. マーケティング
11. ビジネス戦略と目標・評価
12. 経営管理システム
2-1. 経営戦略
2-2. マーケティング
2-3. ビジネス戦略と技術戦略
4:技術戦略マネジメント
13. 技術開発戦略の立案・技術開発計画2-3. ビジネス戦略と技術戦略
5:ビジネスインダストリ14. ビジネスシステム
15. エンジニアリングシステム
16. e-ビジネス
17. IoT システム・組込みシステム
1-3. 意思決定と問題解決技法
2-5. エンジニアリングシステム
3:システム戦略 6:システム戦略
18. 情報システム戦略
19. 業務プロセス
20. ソリューションビジネス
21. システム活用促進・評価

2-4. ビジネスシステム
2-6. システム戦略
2-7. モデリング技法
7:システム企画22. システム化計画
23. 要件定義
24. 調達計画・実施
2-8. システム企画
ITパスポート試験シラバス(変更箇所表示版) (ipa.go.jp) と「ニュースペックテキスト ITパスポート 2023年度 オールカラー図解 これ一冊でインプット&アウトプット 」から抜粋して管理人が作成

1:企業活動>2.業務分析・データ利活用

キーワードをピックアップしてみた。赤字のキーワードは、シラバスVer6.0から新たに追加されたキーワードだ。

No単語意味ウェブ解析士
1アンケート一定の質問項目を用いて調査対象者に回答を求める方法。
2インタビュー調査対象者に直接話を聞くことで情報を得る方法。
3構造化インタビューあらかじめ決められた質問項目に従って調査する方法。
4半構造化インタビュー一定のテーマについて自由な発言を求めつつ、必要に応じて質問を深める方法。
5非構造化インタビュー自由な会話を行い、テーマに関する情報を収集する方法。
6フィールドワーク実地で現象を観察し、調査する方法。主に社会学や人類学の分野で使用される。
7パレート図要因ごとにその重要度をグラフにして分析する手法。パレートの法則に基づいて、重要な要因に注力することができる。
8ABC 分析資源配分のために、全ての要素をA、B、Cの3つのグループに分け、それぞれのグループに対する優先順位をつける手法。
9特性要因図(フィッシュボーンチャート)問題点を中心に、その原因を構造的に分析するための図式。頭蓋骨を模した形状から「魚の骨図」とも呼ばれる。
10管理図品質管理のために、製造工程などの状態を把握するためのグラフ。製造過程の状況を定量的に把握し、異常を検知することができる。
11系統図問題解決のために、問題点とその原因との因果関係を分析する図。フィッシュボーンチャートと類似しているが、より複雑な原因関係を表現できる。
12PERT(アローダイアグラム)プロジェクトのスケジュール管理に使用される手法。プロジェクト内の各作業の順序と期間を把握し、全体のスケジュールを策定することができる。
13クリティカルパス分析プロジェクトの作業期間を短縮するために、プロジェクトの中で最も重要な作業項目を特定し、スケジュールを最適化する手法。
14最小二乗法複数のデータから、その傾向を表す数式を求める手法。回帰分析などで使用される。
15回帰分析2つ以上の変数の間にある関係性を分析し、数学的なモデルを作成する手法。最小二乗法を用いて、変数間の関係性を分析する。
16相関と因果2つの現象の関係性を分析する際、相関関係と因果関係を区別することが重要。相関関係は、2つの現象が同時
17棒グラフデータを棒状に表したグラフ。比較対象が多い場合に使用されることが多い。
18折れ線グラフデータを折れ線で表したグラフ。時間経過や連続性のあるデータを表現するのに適している。
19散布図2つの変数の間の関係を表現するグラフ。2つの変数がどのような関係にあるのかを視覚的に確認することができる。
20マトリックス図行列状のデータを表現するグラフ。色分けや記号を用いて、データのパターンを視覚化することができる。
21箱ひげ図データの分布状況を箱とひげで表現するグラフ。中央値や四分位範囲、外れ値などの統計量を視覚化することができる。
22ヒートマップグラデーションの色分けを用いて、大量のデータを視覚化するためのグラフ。
23レーダーチャート多角形の頂点をつなぎ、データを表現するグラフ。複数の要素の特性を比較する際に使用されることが多い。
24ヒストグラムデータを棒状に表現するグラフ。データの分布状況を確認するために使用されることが多い。
25モザイク図データを長方形に分割し、色分けでデータのパターンを視覚化するグラフ。
26クロス集計表複数の要素の間の関係を表現するための表。カテゴリカルデータを扱う際に使用されることが多い。
27分割表クロス集計表の一種で、2つの変数の間の関係を表現するための表。
28相関係数行列複数の変数の相関係数を表現する行列。相関関係を視覚的に把握することができる。
29散布図行列複数の変数の間の相関関係を表現するためのグラフ。
30複合グラフ複数のグラフを重ねて表示することで、2つ以上のデータの傾向を比較するためのグラフ。
312軸グラフX軸とY軸が2つあり、それぞれ異なるスケールで表されるグラフ。相関関係がある2つのデータを同時に表示する場合に用いられる。
32ロジックツリー問題解決や意思決定の手順を木構造で表したもの。課題を整理し、優先順位を付けることができる。
33コンセプトマップアイデアや概念を視覚的に整理するための図。中心にテーマを置き、その周りに関連する概念を連結させて表現する。
34CSV (Comma Separated Value)データをカンマで区切って表現したファイル形式のこと。データベースやスプレッドシートソフトなどでよく使われる。
35シェープファイルGIS(地理情報システム)で用いられる地図のデータ形式。地理的な情報を表すため、点、線、面などの形状を持つオブジェクトを定義している。
36共起キーワードテキストデータ分析において、一緒に現れる頻度が高い単語を関連付けて分析する手法。
37チャートジャンク不必要なデザインや情報が含まれたグラフや図のこと。正確な情報伝達には向かないため、データ可視化においては避けるべきもの。
38調査データ調査によって得られたデータ
39実験データ実験によって得られたデータ
40人の行動ログデータインターネット上の活動や行動のログデータ
41機械の稼働ログデータ機械の動作ログデータ
42GIS データ地理情報を含んだデータ
43量的データ数値データ
44質的データカテゴリーデータ
451 次データ初めて収集されたデータ
462 次データ既存のデータを再利用したデータ
47メタデータデータに関する情報(収集日時、方法、データ形式など)
48構造化データデータベースなどの表形式で整理されたデータ
49非構造化データテキスト、画像、音声などの形式で整理されたデータ
50時系列データ時間軸に沿って収集されたデータ
51クロスセクションデータ時間軸に沿わずに同時期に収集されたデータ
52母集団研究の対象となる全体の集合。
53標本抽出母集団から標本を抽出すること。
54国勢調査全ての国民に対する調査。
55アンケート調査質問紙を配布し、回答を集める調査。
56全数調査母集団全体を調査すること。
57単純無作為抽出抽出する標本が、母集団内の各要素が選ばれる確率が等しい方法。
58層別抽出母集団を複数の層に分け、各層から標本を抽出する方法。
59多段抽出複数の段階を経て標本を抽出する方法。
60仮説検定統計的な手法で仮説の妥当性を検証すること。
61有意水準仮説検定において、帰無仮説を棄却するかどうかを判断する閾値。
62第 1 種の誤り帰無仮説が真の場合に、誤って帰無仮説を棄却してしまう誤り。
63第 2 種の誤り帰無仮説が誤っている場合に、誤って帰無仮説を採択してしまう誤り。
64A/B テスト2 つの選択肢の中からランダムに一方を選び、比較することで、どちらが優れているかを判断する手法。
65BI(Business Intelligence)ビジネスの意思決定に役立つ情報を収集・分析し、可視化することを目的とした技術・手法
66データウェアハウス企業内の複数のデータソースから、分析に必要なデータを集め、統合・蓄積したデータの集積場所
67データマイニング大量のデータからパターンを見出し、知識や情報を発見する手法
68ビッグデータ従来のデータ処理手法では扱いきれないほど巨大なデータ量
69テキストマイニング文章データから意味やパターンを発見する手法
70データサイエンスのサイクル問題定義→データ収集→前処理→分析・モデリング→評価・改善といった、データサイエンスの一連のプロセス
71データサイエンスのテストデータの検証を行うための手法
72デシジョンツリー意思決定のためのツリー状のモデル。Yes/Noで答えられる質問を階層的に設定し、最終的に目的に合致する葉ノードに至る。
73モデル化複雑な現象を単純化し、理論化すること。確定モデル(数式によるモデル)や確率モデル(確率的なモデル)がある。
74シミュレーション現実の事象を模擬することにより、事象の理解を深めたり、予測を行うこと
75データ同化観測データやモデル予測値と実測値の誤差を修正する手法
76予測未来を予測するために、過去のデータをもとにモデルを作成し、予測を行うこと
77グルーピングデータをいくつかのグループに分けること。クラスタリングとも呼ばれる。
78パターン発見データの中に潜む法則性やパターンを発見すること
79最適化ある条件下で最も良い解を求めること
80在庫管理商品や資材などの在庫を適切に管理することで、需要に対して適切な供給を行い、在庫コストを最小限に抑えることを目的とする管理手法。
81与信管理取引先に対して与信限度額を設定し、その範囲内での取引を行うことで、債権回収リスクを最小限に抑えるための管理手法。信用調査やクレジットチェックなどを行うことが一般的である。
82発注方式定期発注方式(一定期間ごとに決まった数量を発注する方式)、経済発注量方式(在庫コストと発注コストを考慮して発注量を決定する方式。)
83ブレーンストーミング多数の意見を出し合い、アイデアを生み出す手法。
84ブレーンライティング問題解決やアイデア発想のために、一定時間内にできるだけ多くのアイデアを書き出す手法。
85親和図法関連するアイデアや課題をグループ化し、整理する手法。アイデアの共通点や相違点などを明確にし、問題を整理することができる。

キーワード85個中、「ウェブ解析士」のテキストに登場したキーワードは32個だった。
全体では、32/85=37.6%。約40%にキーワードの重複が見られた。

直感では、重複が「少ない」と思った。最低でも50%はほしい。(私見として)

テーマは「業務分析」と「データの利活用」なので、「ITパスポート」でも「ウェブ解析士」でも同じだ。気がついたところを列挙しておく

  1. 「ウェブ解析士」にとってネット世界のユーザーのニーズを汲み取るためには、「アンケート」。クライアントの意向を知るために「インタビュー」の技法は深めたい。テキストでは「デプスインタビュー」(=非構造化インタビュー)の解説があるが、「質問力」を磨くためにもいくつかのインタビュー技法も追加でほしい。
  2. 分析手法では、「パレート図」「ABC分析」、「PERT」「クリティカルパス分析」は知っておきたい。「PERT」は意見が分かれるかな。
  3. 「系統図」は、「ウェブ解析士」ではなく「上級ウェブ解析士」でロジックツリーの変形版として解説している。そのまま、提案するときの代表的な説明スタイルで採用している。
  4. 基本的な統計知識として「最小二乗法」は知っておきたい。クライアントに提案する時のレポーティングには、説得力ある数字が必要。予測についても尚の事、根拠ある算出手法は必要。
  5. 「GISデータ」は、主にグーグルのサービスで利用されるケースが多いが、地理的データがどういうものであるかの基本的なことは知りたいな。
  6. 「シェープファイル」はローカルなマーケティングに利用されるケースが多いのではないかと思う。ウェブからリアルなマーケティングに展開することもあるので、テキストでも取り上げたい。
  7. 「モデル化」は、アクセス解析に常時利用されているのであるからテキスト掲載は必要。
  8. ブレインライティング」はコンサルタントが「アイデア出し」によく使う技法。知っておいて損はない。新しい発想を手に入れるためにも解説しておきたい。
  9. 「親和図法」って、ぼくが知ってるのは「KJ法」というけど、今はそんな言い方はしないのかな。
  10. 「ウェブ解析士」は幅広い表現方法を知っておくと、レポーティングがより説得力を増すことができるので、引き出しを多く持ちたい。「上級ウェブ解析士」に強く求められる要素だ。

次回へとつづく


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参考