F05|Find|発見の法則
相手の話を聞いていると、「困っていること」が出てきます。
手間がかかる。
同じことを何度も聞かれる。
説明するのが大変だ。
問い合わせへの対応に時間を取られる。
普通なら、それを「減らすべき問題」と考えます。
しかし私は、困り事を聞いたとき、もう一つ考えるようにしています。
その困り事は、本当にただの問題なのだろうか。
相手が繰り返し困っているところには、顧客が繰り返し求めているものが隠れていることがあります。
「質問が多くて困っている」
ある美容整形クリニックのウェブサイト改善をお手伝いしたときのことです。
当初、私は医師の技術力やスタッフの対応など、クリニックの良さをもっと伝えることを考えていました。
ところが院長と話をしていると、こんな話が出てきました。
患者さんから、とにかくたくさんの質問を受ける。
一つひとつ説明するのに時間がかかって大変だ。
院長にとって、それは「困り事」でした。
しかし、その話を聞いていて、私は気になりました。
なぜ、患者さんはそんなにたくさん質問するのだろう。
困り事を反対側から見てみる
美容整形を受けようとする人にとって、治療は簡単な買い物ではありません。
不安もあります。
分からないこともあります。
人には聞きにくいこともあるでしょう。
だから質問する。
そう考えると、院長が「何度も聞かれて大変だ」と感じていた質問は、患者さんから見れば、**「知りたい情報」**だったのです。
そこで、それまで患者さんから実際に寄せられていた質問と回答を整理し、ウェブサイトにQ&Aとして掲載することを提案しました。
すると、サイトへのアクセスは大きく増えました。
新しい情報を一から考えたわけではありません。
価値のある情報は、すでに院長のところに集まっていたのです。
ただ、それを「対応するのが大変な質問」として見ていたため、価値として見えていませんでした。
「困る」の向こう側に誰かがいる
困り事には、たいてい相手がいます。
問い合わせが多くて困る。
説明に時間がかかって困る。
同じ質問を何度もされて困る。
細かな要望が多くて困る。
こちら側から見れば、負担です。
しかし反対側から見ると、
問い合わせたい理由がある。
説明してほしいことがある。
何度も確認したいほど不安がある。
満たされていない要望がある。
ということかもしれません。
こちら側の「困った」は、相手側の「欲しい」の裏返しであることがあります。
だから、困り事をなくす方法だけを考えるのではなく、その困り事がなぜ起きているのかを見ることが大切です。
面倒なことほど、ヒントになる
仕事を効率化するときには、面倒なことを減らそうとします。
それ自体は間違っていません。
しかし、すぐに自動化したり、なくしたりする前に、一度その中身を見てみる。
何度も同じ質問を受けるなら、その質問には何か理由がある。
同じ説明を繰り返しているなら、その説明を必要としている人がたくさんいる。
特定の依頼ばかり増えるなら、そこに新しい需要があるのかもしれません。
繰り返し起きる困り事は、価値の存在を知らせるサインになることがあります。
困り事をなくすだけでは、もったいない
もしクリニックで、「質問への対応が大変だから、できるだけ質問を減らそう」とだけ考えていたらどうでしょう。
業務は少し楽になったかもしれません。
しかし、患者さんが何を知りたがっているのかという、大切な情報も一緒に消してしまったかもしれません。
困り事を改善するときには、
「どうすれば、これをなくせるか」
だけではなく、
「なぜ、これは何度も起きているのか」
と考えてみる。
そこから、別の価値が見つかることがあります。
F05は「問題を価値に読み替える」
F02では、
本当の課題を見つけろ
としました。
F03では、
相手の中にある価値を探せ
としました。
F05では、その二つが少し交わります。
一見すると問題にしか見えないものの中から、価値を見つけます。
問題だから取り除く。
負担だから減らす。
それだけではなく、反対側から見てみる。
だから私は、提案するときにこう考えています。
困り事を価値に変えろ
困り事は、なくすべきものとは限りません。
誰かが困っているところには、まだ満たされていない誰かの要求が隠れていることがあるのです。
提案の成長スパイラル:Find|発見
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