同じ言葉を使って、別の話をしていないか

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── 伝わらない原因は、意見ではなく前提にある

話は通じているはずだった。
同じ言葉を使い、同じ資料を見て、同じ方向を向いているつもりだった。
それなのに、あとになって振り返ると、
「そんなつもりではなかった」という食い違いが表に出てくる。

議論が噛み合わないとき、
私たちはつい「意見の違い」だと考えてしまう。
価値観が違う、立場が違う、考え方が違う。
そう整理すると、話は早い。

けれど実務の現場を見ていると、
問題は意見以前のところにあることが多い。
そもそも、同じ言葉が同じ意味で使われていない
その状態で、意見だけをすり合わせようとしても、
話が平行線になるのは自然なことだ。

たとえば「改善」という言葉。
ある人にとっては、
・数字を少しずつ良くしていくこと
であり、
別の人にとっては、
・仕組みそのものを変えること
を指しているかもしれない。

どちらも間違ってはいない。
ただ、前提が違うだけだ。

説明は尽くされている。
言葉も尽くされている。
それでも伝わらないと感じるとき、
実は「何を前提として話しているか」が共有されていないことがある。

前提は、たいてい言葉にされない。
当たり前すぎて、確認する必要がないと思っているからだ。
しかし、その「当たり前」は、
経験や立場が変われば、簡単にズレる。

議論が噛み合わない場面で、
どちらかが間違っているとは限らない。
同じ言葉を使って、
別の話をしているだけかもしれない。

だからこそ、
「どちらの意見が正しいか」を決める前に、
「その言葉は、何を前提に使われているのか」を立ち止まって見る必要がある。

前提が共有されないまま出された結論は、
理解されたように見えても、
実行の段階でズレを生む。
行動が揃わないのは、意欲の問題ではなく、
見ている地図が違っているからかもしれない。

伝わらない原因を、
説明不足や説得力の欠如だと決めつける前に、
言葉の奥にある前提に目を向けてみる。
それだけで、話の風景が変わることがある。

その言葉は、
あなたと相手で、
同じ前提のもとに使われていただろうか。

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